要点
- 求人票は「条件の羅列」ではなく、働くと得られる価値(EVP)を売る営業文にする。
- 構成は タイトル→リード→1日の流れ→成長支援→働きやすさ→評価・給与→選考フロー→FAQ 。
- 数字と体験で具体化(残業実績・同行回数・研修回数・支援額)し、見学CTAで次の一歩を促す。
1. なぜ「条件の羅列」だと応募が伸びないのか
候補者は「自分の未来」を買います。
にもかかわらず、多くの求人票は**作業内容・時間・賃金の“事実だけ”で、成長・裁量・つながりといった体験価値が見えません。結果、比較軸が「時給/年収」になり、価格競争に陥る。
解決:EVP(従業員価値提案)を文章化し、数字で裏付ける。
2. 勝てる求人票の基本構成(8パーツ)
- タイトル:誰向けに、どんな価値が手に入るか
- リード(150–200字):薬局のパーパス+半年/1年後の姿
- 1日の流れ:外来/在宅/カンファの時間配分で具体化
- 成長支援:同行回数、症例共有会、認定・学会支援の“数値”
- 働きやすさ:シフト原則、実績ベースの残業、事務集中時間
- 評価・給与:行動×成果の評価軸、昇給タイミング、レンジ
- 選考フロー:見学→面談→面接→内定フォロー(所要時間)
- FAQ:よくある不安を先回り(在宅未経験/配属/残業)
3. 完成サンプル(2種)
3-1. 薬剤師(中途)サンプル
タイトル
在宅×チーム医療で“地域の専門家”へ|学会支援・1on1あり【薬剤師】
リード
私たちは〇〇地域で外来と在宅を両輪で担う薬局です。入社6か月で在宅を単独担当、1年で症例共有の発表に挑戦。月1回の症例カンファと1on1で学びを言語化し、現場改善は薬局長と即実行。患者さんの生活に踏み込む実践を、共に。
1日の流れ
午前:外来(監査→投薬)/事務集中15分
午後:在宅2件同行(週あたり目安4件)
夕方:ミニカンファ10分(リスク共有)→日報
成長支援
- 在宅同行:月8回まで同席可、6か月で単独訪問
- 症例共有:月1回、発表スライド作成は先輩が伴走
- 認定/学会:年2回補助(上限3万円/回)
働きやすさ
- 残業実績:月平均8.5時間(直近3か月)
- シフト原則:希望休月2日確約、土曜は交代制
- ダブルチェック体制+監査機器あり
評価・給与
- 年収レンジ:●●●–650万円(経験/役割に応じて)
- 評価:行動(患者志向・協働・改善提案)×成果
- 昇給:年1回、表彰制度あり
選考フロー
見学60分 → カジュアル面談30分 → 一次面接45分 → 最終(必要時)
返信は24時間以内。見学は私服可。
FAQ
Q. 在宅未経験でも大丈夫?
A. 6か月のロードマップで伴走。まずは同行から。
Q. 配属は選べる?
A. 通勤圏と経験を踏まえ、面談で相談します。
応募
応募ボタン/LINEでも可(ID: @xxxx)担当:〇〇
3-2. 調剤事務/医療事務(未経験歓迎)サンプル
タイトル
未経験から“患者さんを支える事務”へ|受付・入力・在宅準備【調剤事務】
リード
「ただの入力」ではありません。受付での声かけ、在宅訪問の準備、服薬情報の整理など、チームの要となる仕事です。3か月で一連の業務を自走できるよう、チェックリストを用いてメンターが伴走します。
主な業務
受付/患者対応/入力/レセ補助/在宅準備/電話連絡
育成
- OJTチェックリスト(全35項目)
- メンター1名+週1回のふりかえり15分
- 医療知識は社内テキスト+小テストで習得
働きやすさ
残業:月5時間未満/希望休月2日/学校行事配慮
選考フロー
見学30分 → 面談30分 → 面接30分
4. Before / After(書き換え例)
Before
- 教育体制が充実しています。
- 在宅あり。やる気があれば可。
- 残業は少なめ。
After
- 月1回の症例共有会と1on1で学びを言語化。半年で在宅単独へ。
- 在宅は週4件同行から開始。6か月で単独訪問。
- 残業実績は直近3か月平均8.5時間。事務集中15分でムダを削減。
5. 避けたい表現と推奨例(即修正リスト)
避けたい表現 | 推奨例 |
---|---|
アットホーム | 1on1月1回/ミニカンファ10分など“仕組み”で表現 |
若手が活躍中 | 入社1年目の役割例を記載 |
やる気があれば | 6か月ロードマップを提示 |
教育充実 | 回数・補助額・担当を数値で |
残業少なめ | 直近3か月の平均値を明記 |
6. 反応率を上げるA/Bテストのポイント
- タイトル:価値訴求 vs 在宅訴求(クリック率比較)
- リード1文目:「地域課題」vs「成長機会」
- 見学CTA:「所要60分&私服OK」表記の有無
- 画像:人物の表情あり/なし(CTR差が出やすい)
KPI目安:PV→応募率 0.8–1.5%、応募→見学率 55–70%。
7. 労務・表記の注意(最低限)
- 労働条件の明示(賃金・試用期間・就業場所・就業時間・休日)
- 差別的・不適切表現の排除(性別・年齢限定など)
- 残業時間等は“実績値”を。誇張NG。
- 画像は院内・患者情報への配慮(写り込みに注意)。
8. 今日からのチェックリスト
- タイトルとリードを価値訴求に差し替え
- 1日の流れを時計ベースで記載
- 成長支援・働きやすさを数値で明記
- 見学60分の案内と申込導線を設置
- FAQで不安を先回り
- 公開後2週間でKPIレビュー&A/Bテスト
9. まとめ
求人票は「情報提供」ではなく、価値の提案です。
EVPを言語化→数字で裏付け→見学CTAの三点セットが、どの地域の薬局でも今日から実装できる最短ルートです。